2012年12月アーカイブ

本年も残すところあと2日となりました。

過日ご案内いたしましたように,12月31日は箱館奉行所定例の休館日となり,新年1月1日から3日までは午前9時~午後3時まで特別開館いたします。

幕末の箱館にあった奉行所の雰囲気そのままに復元された建物ですので,少し厚めの館内用靴下をご用意いただき,暖かい服装でお越しいただきますよう,お待ち申し上げております。

本年中賜りました箱館奉行所へのご支援に,心よりお礼申し上げます。

箱館奉行所見どころガイド№4

今日は,奉行所玄関右側に続く「使者之間」を紹介します。(使者之間写真)

使者之間は,主人のお供をして奉行所を訪問した人が待機する部屋でした。

この部屋では,箱館奉行所に関する歴史や復元などの概略を映像にまとめ2分間で紹介しています。

左手には,背景を玄関大床と同じ張付壁で仕上げた弓鉄床といわれる床があります。これは,弓矢や鉄砲が掛けられる場所であったことから呼ばれる名称のようです。

この張付壁には,縦・横型の掛け軸,扁額が掛けてあります。

左の掛け軸は榎本武揚のもので,箱館奉行所が箱館山麓から現在地に移転したのが1864年,大政奉還を経て明治新政府に引き渡された後,旧幕府脱走軍のリーダーとして箱館戦争を指揮し,1869年5月降伏して東京に護送されるときに作られた市立函館博物館所蔵品の複製です。

右の扁額は,東京日野にある土方歳三資料館所蔵品の複製で,箱館で亡くなった土方歳三の甥である土方隼人作助が叔父さんの戦死の状況を知りたいと,政府の高官に返りざいた榎本武揚のもとを訪ねたとき,「入室伹清風(にゅうしつしょせいふう) 梁川」[歳三という男。部屋に入ると清らかな風が吹くような、そんなさわやかな人物であった。]と,詠んでくれたもの(土方愛著「子孫が語る土方歳三」より)だそうです。

最後の梁川(りょうせん)は榎本武揚の俳号で,函館市にはこの榎本武揚にかかわる梁川町,榎本町,中島三郎助にかかわる中島町,高松凌雲にかかわる高松町や松川弁之助にかかわる松川町など,箱館戦争ゆかりの町名が残っていることも興味深い話だと思います。

箱館奉行所見どころガイド№3

箱館奉行所の見どころガイドをしばらくお休みしておりましたが,第3回目からは奉行所内に入り見学順路に従って紹介します。

箱館奉行所玄関式台を3段上がると,板敷きの武者縁右側に,平成23年度北海道赤レンガ建築賞の受賞パネルを展示しています。これは,北海道の建築文化の向上や地域に根ざしたまちづくりの促進に寄与したとして箱館奉行所が評価され贈られたものです。(写真1,2)

この武者縁を渡ったところが12畳の広さの玄関になります。この玄関は奉行の交代時や奉行所の新政府への引渡しなどに使用された特別な場所だったようです。

玄関の正面は槍床といわれる大床で,長さ3間のケヤキの框の上に広がる大床の壁は何らかの絵か紋様があったと思われますが,資料が残っていないことから手を加えずに白地のままになっています。右手の襖も同じ理由から白地ですが,工法として大床は専門の技術を持つ表具師が7種類の手漉きの和紙を貼り重ねた張付壁,襖は七遍貼の本襖です。(写真3)

これからの季節は昔の建物を見学するには十分な防寒対策が必要ですが,奉行所内をゆっくり見学いただくことができます。館内に待機しているスタッフに声をかけなから,昔の香りが感じられる伝統的木造古建築の箱館奉行所をお楽しみください。

 

箱館奉行所休館日と新年特別開館のご案内

12月も半ばを迎えましたが,箱館奉行所は今月31日(月)は定例の休館日としてお休みさせていただきますが,新年1月1日(火),2日(水),3日(木)午前9時から午後3時まで特別開館日としてお客さまをお迎えいたします。

なお,特別開館する3日間は午後3までのご見学となり,ご入館が閉館15分前までとなりますので,お早めのご来館をお待ち申し上げます。

ご旅行や帰省等で函館へお越しの際は,12月31日の休館日を避け,特別開館する1月1日~3日までにご見学いただきたくご案内申し上げます。

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