特別史跡五稜郭跡内で、幕末期に建設された建物としては、唯一当時の名残りをとどめているのが土蔵の兵糧庫です。1864(元治元)年の箱館奉行所建設に併せて、当時の費用で千四百両により米蔵として建てられました。その後、五稜郭が箱館戦争の舞台となったことから、いつしか「兵糧庫」と呼ばれるようになったとされています。
箱館奉行所が1871(明治4)年に解体されましたが、その後も土蔵の兵糧庫は残されて、外観は板壁に変更となり、大正時代には「懐旧館」という箱館戦争の資料館として使用されました。この後にも兵糧庫は、五稜郭跡内の建造物として存続していましたが、老朽化が著しくなったことから、1973・1974(昭和48・49)年に兵糧庫の解体修理、2001・2002(平成13・14)年に保存修理(庇屋の一部復元)を行った後、毎年、夏期に特別公開を行っています。
今年も、8月1日(土)から8月31日(月)までの期間、午前10時から午後3時に無料公開いたしますので、幕末・明治維新の激動をくぐり抜け、現在に保存された貴重な建造物を観覧いただきたいと存じます。なお、期間中は無休で開館いたします。
期間中、多くの方々に五稜郭・兵糧庫まで来訪いただくことを考えております。